序論
3Dアニメ映画史に残る大傑作。
私はそう言いたい。
本作は漫画「GANZ」の大阪編を映像化した作品。
大阪編は物語中盤の大一番で、それまで都内で戦っていたレイカたち東京チームが、このゲームをクリアした強者を何人も擁する強豪大阪チームとともに、道頓堀に現れた「星人」たちと戦う、というストーリーだ。
本論では、私がこの作品を評価するポイントを3点上げて詳述する。
本論
CGの完成度の高さ
まずはこの点をあげたい。
この映画、2016年の作品なので、既に公開から6年の月日が流れている。
だが、CGに古さだとか違和感が驚くほどない。
これは想像に過ぎないが、この作品は「不気味の谷」の1cm手前にいるのではないかと思ってしまう。
つまり、人がCGを気持ち悪いと感じない(CGをCGとして受け入れる)ギリギリのラインに立っているものと感じてならない。
大げさに思われるかも知れないが、リアルを追及したCGアニメの基準(極地)はこの「GANTZ:O」である、というのが私の結論だ。
キャラクターたちの魅力
次はこの点。
実は見る前、私はここが一番不安だった。
というのは、大阪編はGANZの中でもキャラクターを引き立たせるのが難しい、と思っていたからだ。
無論原作があるので、加藤と杏になるわけだが、ともすれば加藤は直情的な熱血漢、杏はレイカの下位互換にならざるを得ない危険性があり、仮にそうなってしまうと、なんで玄野とレイカがメインじゃないんだ、という批判に繋がり、作品全体の評価が著しく下がってしまう。
しかし、である。
見た後は、「加藤、かっけえ」「杏、愛おしい」となる程、キャラクターが立っていた。
時に室屋・島木といった戦闘狂と対峙し、無常な世界でも人としてあるべきを貫く正義漢・加藤、この世の酸いも甘いも噛み分けて、生きることに執着しつつも加藤を慕い共に戦う杏。
恐らく奥先生がこの編で描きたかったキャラクター像を彼らは見事に演じ切っている。*
*演じる、というのが肝だ。これほど良く出来たCGであれば、キャラクターは演者なのだ。
敵描写の秀逸さ
最後はこれである。
ただ、秀逸といってもCGが見事だというだけではない。
確かに、牛鬼はとんでもない迫力だし、天狗は実在を疑うほどだし、ぬらりひょんはとてつもなく不気味だ。
だが私がここで取り上げたいのは「描き方」である。
それはつまり、天狗の執念であり、ぬらりひょんの総大将ぶりである。
これは私の解釈だが、この作品における星人は、単純に理解不能な他者ではなく、「理解は著しく困難だが理解可能で、そして決して相容れない敵」である。
従って、彼らの心情は「人類」の延長線上にあることが表現されていなければならない。
そしてこの作品では、「敵」の、相手を弄ぶ、侮る、激昂する、冷静になる、といった心の動きが手にとるように分かるよう描かれている。
これは凄いの一言に尽きる。
キャラクターの項でも描いたが、とにかく「演出」が見事なのだ。
結論
私はこの作品については、手放しで称賛する。Netflixで見れるので、是非。
以上。