前回に続き今回はアニメ5選。
今回は別に男向けというわけではないので、大人にオススメしたい、とした。
ただ、大人といってもそれほど幅広い年代は想定しておらず、メインターゲットとしては20代後半から30代前半向けを想定している。
では早速。
第5位 いぬやしき
イケメンでもない。美少女でもない。 家庭では信頼も威厳もない。会社では出世もない。 主人公は冴えない初老のサラリーマン。 “ないない”ばかりの主人公。 そう、彼が持つ真実を誰も知らない……。 奥浩哉にしか描けない世界。誰も想像がつかない物語。 ぜひ、その目で確かめてください!
https://evening.kodansha.co.jp/c/inuyashiki.html
私が奥浩哉先生の作品を好きだということは以前GANZ:Oを紹介したことからも分かると思うが、今回はアニメということでこちらをご紹介。
本作は、”ないない”づくしの冴えない初老のサラリーマン犬屋敷壱郎と、共感性の低い現代っ子の代表格のような高校生獅子神皓を軸に展開する。
内容は所謂対決物で、前者と後者は非常に分かりやすい善と悪として描かれる。
一見すると陳腐にも思える設定であり、また展開もある程度読みやすいが、見ていても全く飽きがこない。
それにはアニメーション、及び原作の漫画としての見せ方に負うところも大きいとは思うが、主たる要因はキャラクター自体の描き方にある。
一般人が非凡な能力に目覚めた場合、彼らは何を考え、どう振る舞うか。
その問いに対して奥先生が出した「答え」がしっくりくるからこそ、視聴者はこの世界観に没頭できるのだと思う。
第4位 ぼくらの
夏休み――自然学校にやってきた15人の少年少女。そこで、小学生の宇白可奈を除く14人の中学1年生は、ココペリと名乗る謎の人物と突然、契約を結ぶ。その契約は戦いに負けたり、勝負がつかず48時間経過すると、地球は破壊され、全人類のみならず地上の全生物が死滅する。縦者は、事前に契約した者の中から選ばれた1名がなる。操縦は一人で行い、勝手に変更する事は許されない。ロボットは人の生命力で動く。一戦闘する代わりに、操縦者の命を奪う。世界の滅亡か ぼくらの死か。
http://www.gonzo.co.jp/archives/bokurano/story.html
アニメに疎かった私が、大学時代に見て一番最初に衝撃を受けた作品。
内容は上記の通りで、謎の外敵から地球を守るために選抜された子どもたちが、人命を原動力に動くロボットに乗り込み戦うというストーリー。
言い方は悪いが、所謂胸糞な作品だ。
それでもこの作品を上位に据えたのは、戦争の本質の一端を描いていると感じたからだ。
聞こえが悪いかも知れないが、例えば実際に戦争が起こったとして、兵士として徴発される機会が訪れたとしたら、私はほぼ間違いなく家族とともに逃げると思う。
また、個人的に、闘争か逃走か、というシチュエーションになったときに、私は逃走を選択する人が多いと思う。
だが、戦争の本質とは、そのような逃走を許さない仕組みが陰に陽に構築されていくプロセスにあるのだと私は感じてしまう。
そこでこの作品だ。
子どもたちは碌な時間も選択肢も与えられず、戦って命を散らしていく。
そしてその姿を眺めてただただ無力感に苛まれる視聴者は、作中の大人たちに自己を投射するしかない。
その構造含めすごい作品だと思う。
第3位 シロバコ
武蔵野アニメーションの新人制作進行のあおいを中心として、アニメーション制作現場で起こるトラブルや、葛藤や挫折などといったアニメ業界の日常を描く群像劇。
https://anime.dmkt-sp.jp/animestore/ci_pc?workId=11479
アニメで「社会人」が主人公となり、現実「社会」を描いている作品はこれくらいしかないのではないか。
今回挙げた作品の中では、もっとも間口が広い作品だと思う。
内容としては、武蔵野アニメーション制作進行2年目の宮森あおいが、自社制作のTVシリーズ開始に伴い、一癖も二癖もある関係者たちと共に、放映からクランクアップまで突っ走っていくハチャメチャもの?だ。
当然デフォルメもされているだろうが、私のような素人がアニメ業界の内情を知るには大変良い作品だったし、一人の社会人が一人前になっていく様を見るのも楽しい(私は今でもあおいより仕事はできない。)。
そして私が思うこのアニメの素晴らしさは、脇役がいないこと。
突出した個の集まりが、極限まで体力を削って作品を作り出すのがアニメ制作の現場なんだなと感じさせてくれる作品だ。
第2位 シュタインズゲート
舞台は2010年夏の秋葉原。厨二病から抜け出せない大学生である岡部倫太郎は、「未来ガジェット研究所」を立ち上げ、用途不明の発明品を日々生み出していた。だが、ある日、偶然にも過去へとメールが送れる「タイムマシン」を作り出す。世紀の発明と興奮を抑えきれずに、興味本位で過去への干渉を繰り返す。その結果、世界を巻き込む大きな悲劇が、岡部たちに訪れることになるのだが・・・悲劇を回避するために、岡部の孤独な戦いが始まる。果たして彼は、運命を乗り越えることができるのか!?
https://anime.dmkt-sp.jp/animestore/ci_pc?workId=10693
人は選ぶと思う。
だが、この作品を挙げないわけにはいかない。これこそ現代アニメの真骨頂だと思うからだ。
私がアニメに足りてないなとつくづく感じていたのが、「理系っぽさ」。
より精確に表現すると、前者は「理論物理っぽさ」だ。
工学系の作品はいくらでもあるのだが、科学の根本的な課題にまで迫る、理学部が扱うようなネタを中心テーマとしたものは少ない。
そこに来てシュタインズ・ゲートである。
これは所謂タイムリープものなわけだが、その中心にあるのは相対論の「世界線」という概念であり、物語は主人公による、「世界線」を含む「時間」そのものに対する理解が否応無く深まっていくことで進行する。
岡部のキャラクター、作中で頻発する2chのネットスラング、ダル(笑)など、好みが分かれる作品であることは確かだが、3話くらいで切ってしまった人は人生を損していると思う。
私のように「理論物理っぽさ」を重視しない人でも、普通に作品として良い(感動する)ものだと思うので、挑戦してみてほしい。
第1位 四畳半神話大系
京都の大学に通う、誇り高き三回生の 「私」 。 薔薇色のキャンパスライフを夢見ながらも現実はほど遠く、実り少ない二年間が過ぎようとしていた。 悪友の小津には振り回され、謎の自由人 ・ 樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女 ・ 明石さんとは、 なかなかお近づきになれない。 いっそのこと、ぴかぴかの一回生に戻って大学生活をやり直したい ! もし、あの運命の時計台前で、ほかの道を選んでいれば ? ? 迷い込んだ不思議な並行世界で繰り広げられる、不毛と愚行の青春奇譚。
https://www.animatetimes.com/tag/details.php?id=1348
私の中ではぶっちぎりの1位。
今回の対象(大人)の中では、インテリっぽい(自称?)のコミュ障気味の人にはもうドンピシャな作品だと思う。
主人公の「私」は作者の森見登美彦先生を模した京大農学部の学生。
(名前は明らかにならない。)
物語は、彼がとあるテニスサークルに入るところからスタートする。
そこで彼は悪友「小津」と出会ってしまい、結果として破茶滅茶な学校生活を送ることとなり、最終的に別のサークルに入っていれば自分の学校生活は違っていたのではないか(よりまともなものだったのではないか)、という後悔の念とともに時計の針が巻き戻り、並行世界の彼が当初とは別のサークルに入るというシーンから物語が再生されるという構成になっている。*
*ただし、記憶の継承などはない。基本的に。
この作品の良さは何か。
それは、タイトルの通り四畳半を中心にストーリーが進むことだ。
別に並行世界があるからといって、世界を救ったり、大切な人を守ったりしなければストーリーが成り立たないわけではない。
多くの人が、「私」と同じように、あのとき違うサークルに入っていれば、という程度のしょぼい空想を抱いたことがあるだろう。(私はある。)
だが実際、記憶の引き継ぎがない状態であれば、たとえどのサークルに入っていても同じような結果になることは請け合いだ。(よってどちらにせよ大したことにはならない。)
この主人公もそうだ。
最終的に彼が叶えた望みは、他人からみれば大きなものではないかも知れないが、それでもどこかの並行世界で偶然叶えられたものではなく、並行世界での経験を総結集してやっとのことでたどり着いたものだ。
そこが少しやるせない。
若者よ、「私」に共感しつつも小津になれ。
まとめ
今回は大人向けということでこれらの作品を上げたが、バカにされがちな最近の「転生」もの等にも面白いものは色々とあるので、需要があれば今後取り上げたい。
以上。