故・ちばあきお先生による不朽の名作。
「キャプテン」。
数多ある野球アニメの中ではかなり例外的な、中学野球を舞台にした作品。
私が本作を知ったのは正に野球少年だった中学生のときで、確か午前5〜6時くらいから放送されていた。*
*普通なら絶対見ない時間だが、私のいた野球部では朝練が6時半からあったので、なんとか見ることができた。
当時は絵も古臭く、動きものっそりとしているので余り受け付けず、話の筋を追うこともできていなかったが、大人になって見返してみて評価は一転した。
これこそ正に教育アニメの理想形である、と。
あらすじ
野球の名門青葉学院中等部から墨谷二中に転校して来た谷口タカオは、同校・弱小野球部に入部する。チームメート達は谷口に期待を寄せる中、谷口は青葉では2軍の補欠だった事を言い出せない。しかし谷口は陰の努力で次第に実力をつけていき、次期キャプテンに指名された。当惑する谷口だが、持ち前の責任感とファイトでチームの実力を懸命に底上げしていく。やがて墨谷二中の野球部は、青葉と互角に戦えるチームへと成長。谷口の卒業後も、彼が燃やした情熱は、情に弱い丸井、天才肌のイガラシら後輩たちに受け継がれていく。
https://eiken-anime.jp/project/captain/
上記を見れば分かる通り、本作は、墨谷二中の野球部を率いるキャプテンに焦点を当てた作品だ。
ちなみに、本作のキャプテンは、
- 谷口
- 丸井
- イガラシ
- 近藤
と4代に渡るが、私が見たアニメ版では2代目の丸井の代までしか描かれていなかったので、以下のまとめはそこまでのものと思ってもらいたい。(時間があれば原作も観て追記する)
それでキャプテンのまとめが書けるか!、という人もいるだろうが、本作の要は初代キャプテンの谷口にあるということには異論はないだろうから、そこに焦点を置いてもそれほどずれたことにはならない。(と思う)
では早速、本作のどこが教育アニメとして優れているのか記したい。
教育アニメとしての「良さ」
グリット(GRIT)
まずはなんといってもこれだろう。
最近、成功する人に共通する特徴として、「グリット(GRIT)」(やり抜く力)が注目されていることはご存知だろうか。
上記はその火付け役となった一冊だが、まあやり抜く力が成功する人の共通要素(必要条件)であるというのは別に改めて言われなくても実感されていると思う。
それこそ野球アニメの火付け役となった「巨人の星」の星飛雄馬などは、OPの歌詞にもあるように、「思い込んだら試練の道を行くが男のど根性」と、正に「グリット(GRIT)」の権化だ。
だが上記の作品が、父親の虐待ともいえる常識外れの指導によって、強制的にその力を身に着けたのとは対照的に、本作の谷口は「あらすじ」にもあるように、誰に頼まれるでもなく、周囲の期待に答えるため、自らその力を身に着けていったというところが大きな相違点だ。
結果、無理がたたって故障するという結末は同じでも、高校に進んだ谷口はそのやり抜く力でサッカー部の期待の新星となり、その後は野球にカムバックして活躍する。(「プレイボール」より)
これこそ正に、正道の「グリット(GRIT)」が彼にもたらした恩恵である。
一流になるにはひたむきな(正しい)努力だけ。そしてそれは必ず報われる。
やり抜く力を子供に身に着けさせたいなら、百ぺんの説教よりも谷口の生き様を見せるほうが百倍効果的だ。
「青春」とはなんだ
本作の歌詞にもある「青春」という言葉。
こちらもまた、「マキバオー」の記事で言及したような男臭い、純粋な「青春」の物語だ。
女子もいないしイケメンもいない。
更にいうと髪すらない。
彼らの青春は全て「白球」にある。
確かに世の中は複雑だし、中学社会だって複雑だろう。
だが、「恋愛」「学業」「私生活」、これらが充実してこその「青春」だ、なんて言説に私は与しない。
そんなものはかなぐり捨てて、ただただ目の前にある「白球」を追いかけることこそ彼らの「青春」であり、私が惹かれるのはこちらの方だ。
これはPTA気質な人と最終的な結論が親しくなるようで癪だが、やはり「青春」とは血と汗と涙が織りなすものでなくてはならない、というある種の先入観がある私のような人間にとってみれば、この作品こそ理想の「青春」ものだ。
熱い「セリフ」
胸を打つ熱い「セリフ」。
これまた名作には不可欠な要素であり、子どもたちを惹き付けるという目的に対しても必須の要素である。
ただ、これは書き出そうと思ったところ、以下のサイトにドンピシャなまとめがあったので、リンクを貼っておく。
https://rantanblog.com/captain/
無論、「教育的」要素が満載である。
まとめ
例え古いアニメ(漫画)であったとしても、それだけで回避するのはもったいない。
名作として愛される作品にはそれだけの理由があり、今見ても色褪せないものも多い。
キャプテンは正にそうした作品の一つであり、私自身、子供に見せたいと思っている。(無論、「教育的」な側面から)
以上。