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映画評③ メランコリック

序論

自分が好きなタイプの映画だった。

この記事では、私が何故この映画を気に入ったか、という点を何点かに絞って説明するだけなので、そもそものあらすじ等に興味がある方は以下のサイトなどで詳細を確認されたい。

参考:https://eiga.com/movie/89872/

本論

良かったポイントは大きく2つ。

「非日常」の「日常」への溶け込ませ方

これ、この手の映画にとって非常に重要なポイントだと思う。

視聴者をあり得ない話に没入させようと考えるなら、その映画で表現される「非日常」を、いかに我々の「日常」と地続きにするか、といったところがポイントになってくるのだと思うが、これが非常に上手くいっている。

なぜ上手くいっているのかということだが、これは「非日常」と「日常」を架橋させているのが主人公だけだからだと思う。

気付いてない人もいるかもしれないが、この映画において、それまでの日常が壊れ、「非日常」を「日常」に取り込まなければならなくなるのは主人公だけだ。

そうなると、主人公の生き様・価値観が我々の感覚からして理解できるものになれば、自ずと我々も「非日常」を受け入れられるようになる。

そこに来て、落ちこぼれた東大生というのは設定として上手かった。*
*合理性と倫理観の程良いバランスの持ち主として振る舞うことに違和感がないから。

勿論、設定だけでなく、皆川氏の演技そのものも素晴らしい。

これが全然出来ていない映画が多いので、これだけで高評価。

二人の元・殺し屋(松本と小寺)

これもよかった。

この二人は先の表現でいうなら、我々にとっての「非日常」を「日常」として生きている人間だ。

勿論、東も田中もそうなのだが、主人公との距離でいうとこの二人が近いので、特に重要な存在になる。

彼らの良かったところは、自ら「非日常」を「日常」に無理に溶け込ませなかったことだろうか。

先程も述べたとおり、その役目は主人公が担うもので、他の登場人物がやると話がおかしくなる。

例えばこの二人が越境してくるとなると、主人公に対して、急に孤児であった過去を語り出し、「そうなること」が仕方なかった、という陳腐なストーリーになったりする。

ただ難しいのは、彼らは理解できない「他者」ではありつつも、自分の生き方を当然のものとして受け入れているという表現にはしないといけないということであって、これは非常にハードルが高い。

しかし二人はそれに成功している。何故か。

ビジネスライクだから。

我々が心の底から理解できなくとも、ああ、仕事なんだよね、と妙な納得感をこちら側に覚えさせれば勝ちで、そこを徹底できていたから違和感がなかった。

勿論役者も素晴らしい。

結論

ここまで書いてみて、自分が好きなのはストーリーと言うか外殻だったのかな、と思った。

以上。

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