読書

読もうぜ!「みどりのマキバオー」

やばいよ。書くの忘れてたよ。

自分史上最高の漫画の話を。

何かって、それはもうタイトル通り。

「みどりのマキバオー」。

はっきりいう。

これ以上の漫画はない。

ということで、本日はこの作品のあらすじと、私がオススメしたいポイントを3つに(泣く泣く)絞って書く。

あらすじ

主人公であるミドリマキバオー(うんこたれ蔵)が、北海道勇払郡鵡川町の「みどり牧場」にて生まれるところから物語は始まる。 母のミドリコが借金のカタに堀江牧場(通称・ひげ牧場)に売られてしまったため、たれ蔵は母親に会いたい一心で、みどり牧場から脱出。道中、とある森の中で後の親分肌となるネズミ、チュウ兵衛と出会い、さまざまな困難を経て、母親と再会を果たすのだが…。 その後、カスケードらライバルとの出会い、競走などによって、たれ蔵は競走馬『ミドリマキバオー』として成長していく。

https://jump.fandom.com/ja/wiki/%E3%81%BF%E3%81%A9%E3%82%8A%E3%81%AE%E3%83%9E%E3%82%AD%E3%83%90%E3%82%AA%E3%83%BC

ファンサイトより引用。

これをみれば、「まあ貧乏な家(牧場)に生まれた主人公(馬)が、仲間やライバルと切磋琢磨して成長していくといったよくある話ね」、と思うだろう。

そのとおりである。

しかし、仮にその一事を以てこの作品を「切ろう」としたのであれば、あなたは大馬鹿である。

なぜなら、この作品は上記のよくある(ようにみえる)あらすじと以下のハンデ?を乗り越えて今なお語り継がれているという事実を直視していないからだ。

  1. 主人公が競走馬という、少年誌のターゲットから著しく乖離した設定
  2. 主人公はじめ主要キャラクターの中に「イケメン」が皆無(ライバルにはいる。チュウ兵衛は人によって解釈が変わる)
  3. 主要キャラクターの中に「美女」も皆無(馬にはいる。リカは、、いや違う)

考えられるだろうか。これでも「読ませ」て「泣かせ」るのだ。

それではここからは、オススメのポイントをかいつまんで説明する。(ハンデを吹き飛ばす要素について)

オススメのポイント

友情 努力 勝利

おなじみ少年ジャンプのテーマ。

あらすじにも表現されていると思うが、この作品ほど純粋に「友情」「努力」「勝利」を描いた作品はないと思う。

どういうことか。これは逆から考えてみよう。

つまり、どんな要素が「友情」「努力」「勝利」を弱めるかだ。

これは複数あるかと思うが、その最たるものは「恋愛」だろう。

無論、これは人間(馬にしても?)極めて重要な人生の1要素であり、むしろこれがないと作品に深みをもたせられないという話も分かる。

だが、上記テーマからするとこれは不純物だ。

そこからすると、このマキバオーに恋愛的な要素は一切ない。(あるとしてもそれは馬とネズミのそれだ)

これは次のポイントにもつながるが、彼らは勝利を宿命付けられた「競走馬」だということと無関係ではない。(むしろ全てだ)

そう、彼らは人間よりはるかに「努力」「勝利」が求められる生き物なのだ。

つまり、この作品は当初から、「友情」の要素(絆と言ってもいいかもしれない)さえ描ければ、「人」を主人公に据えた物語よりも遥かにこのテーマにフィットすることが決まっていたという事。

そしてその「友情」も、恋愛という要素が原理的に入らないために「純」なものにならざるをえなかった。

これがこの作品が「友情」「努力」「勝利」を純粋に描いたという理由だ。

競馬の「夢」と「現実」

競馬における「夢」とはなんだろう。

「白毛」馬のG1制覇?日本馬の海外挑戦?地方馬の中央挑戦?格安馬の激走?

最後は少し「寄せ」てしまったが、実はこれらのホースマンの夢の多くは、マキバオーで描かれている。

  • 白毛の馬(ミドリマキバオー)がダービーと有馬記念を制覇
  • 漆黒の帝王(カスケード)が凱旋門賞に挑戦、日本代表場たちがドバイで海外勢と対決
  • サトミアマゾンの菊花賞出走(及び激走)
  • ベアナックルの青葉賞・ドバイでの活躍

がそれである。(カスケードのNHKマイルとダービーの変速2冠とかも)

強いて言うならマキバオーのG1制覇などはソダシを20年以上先取りしている。

これは、つの丸氏が競馬好きたちがどこに「夢」を見るかを正確に捉えていたからだろう。

真の競馬好きならではのツボを抑えた描写だ。

一方、「現実」。

これは先の項でも書いたが、競走馬が勝ちを宿命付けられた経済動物であるという点がまず挙げられるだろう。

つまり、結果を残さなければ生き残ることができない。

また、それは人の側(生産者、調教師、騎手)も同じだ。(こちらは比喩だが)

併せて、どんな名馬であっても再起不能状態になれば殺処分もありうる。

そしてこの作品には、それも描かれている。

  • 「ヒゲ」の馬、モーリアロー(初期)の勝つためにはどんな手段でも取るという必死さ
  • 飫富兄弟、勘助の窮状
  • マキバオーの予後不良、、

綺麗事ではすまされないこれらの「現実」を描けるのもつの丸さんだからこそだろう。

胸に響く「言葉」

最後はこれ。

もうここは読んでほしいと思うが、私の心に響いたいくつかのセリフを書き出す。(文脈などの補足はしないので、好きな人だけ共感してくれればいい)

今回の勝負は十分ついている・・・

誰の目にも明らかだ。

「みどりのマキバオー」文庫版、4巻より

言っとくがまだ次がある・・・

なんて訳にはいかねえぜ・・・今回が最後だ・・・

これで負けりゃ・・・・・・やつは遠い海の向こうだ・・・

それでいいのかよ!負けっぱなしでいいのかよ!!

ミドリマキバオー!!!

「みどりのマキバオー」文庫版、5巻より

次のレースや明日の事なんて関係ねえ・・・

あいつらの頭ん中は「今」だけ・・・それにすべてを賭けてんだ。

他の馬が勝てない理由はそこにある・・・全てを賭けられるかどうか・・・

「みどりのマキバオー」文庫版、5巻より

見えないのか!?感じないのか

伝説はここにある 黒い風は吹いてる

これがカスケードだ!!!ぼくたちが命懸けで追いかけて来たカスケードだ!!

(中略)

さあ決着をつけようぜカスケード!!

これで・・・終わりだ これで・・・終わりだあああ

「みどりのマキバオー」文庫版、8巻より

まとめ

どうでもいい話だが、私は子供の頃、マキバオーの最終巻だけどうしても手に入れることができず、長い間悶々としていた。

たまにふと立ち寄った古本屋で見つけても、全巻セットしか売っておらず、店の親父にそれだけ売ってくれないか、と頼み込んで無下に扱われたことを未だに覚えている。

一方、今はAmazonや楽天のおかげでそんなことに悩まされることもない。

良い時代になったものだ。(その古本屋が潰れたことも含めて、、(冗談))

以上。

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