序論
昔お世話になったお客さんに、
「君は仕事がどういうものか分かってない!とにかく吉村家の修行の動画を見ろ!」
と言われて早3年、以来何かにつけ見るようになった吉村家の修行動画。
結果仕事ができるようになったかどうかはさておいて、商売の難しさ、仕事への”姿勢”を今一度考え直したいと思う度に、検索窓に「吉村家 修行」と打ち込む自分がいる。
動画自体は当時のテレビ番組の転載なのでリンクは貼らないが、あらゆる意味で凄い動画なので、興味のある人は検索して見ると良いかもしれない。(無論自己責任で。)
では一体何が凄いのか、説明したいと思う。
本論
吉村社長
まずはなんといっても「吉村実社長」その人だろう。
鉢巻にステテコのオールドスタイル。
60代になっても一線に立ち、弟子の動きが悪ければ厨房で怒声を浴びせ、殴り、蹴る。
その姿は「ザ・昭和の職人」だ。
またその一方で実業家としての顔も併せ持ち、これまでに築き上げた100億近い資産を元手に他業種の経営、自社ビルの開発なども手掛ける実業家でもある。
正に八面六臂の活躍ぶりだ。
加えて今までに育てた弟子は3,000人以上にも上り、その多くは独立し自らの店を成功に導いていることからも、指導者としての腕も大変優れている。
ただ、社長の魅力はなんと言ってもその人柄、特にその言葉によく現れている。
例えば、
サラリーマンのプライドは名刺なんだ、商売人のプライドは銭っ子なんだ。
金持ってないやつがプライド持つんじゃねえ。
お客さんは甘くないんだ。本当に甘くないんだよ。
といったように、言い方はぶっきらぼうだが、どれもこれも、死にもの狂いでやらなければ決して商売では成功できないという真理を、自分を信じて入門してきた弟子たちに伝えようという親心が感じられるものが多い。
また、弟子たちの成功を祈り墓前で自らの母を拝む姿、弟子の妻の覚悟を聞いて涙ぐむ情の深さ、乳飲み子を抱える母にミルク代を渡す男意気など、時折見せる男らしさにもまた、社長の人柄がよく現れている。
吉村社長は凄い。
弟子たちの苦闘
次はこれだ。
この番組が取り上げる「弟子」は2人。
東大出の経歴を持ちながら、長年勤めた商社を辞め、妻と2人で倒産寸前の中華料理屋を切り盛りしている崖っぷちの津村さん。
同じくエリート畑を歩みながら、不況の煽りで早期退職を余儀なくされ、一念発起してラーメン屋を志す石川さん。
最後には吉村社長から「杉田家」を任される2人だが、そこに至るまでの修行は凄まじい。
例えば津村さんは、麺揚げと言われるプロセス(ゆでた麺を湯から揚げること)をどうしても上手くやることができず、自ら名乗り出て積極的にこなそうとするも、度々失敗し、その都度社長から殴られ、蹴られる。
特に顎を殴られたときは、余りの痛みで暫く物がまともに食べられなかったほどだ。
(傷害事k、、)
また、弟子たちは日がな一日スープから発する蒸気にさらされ続けるため、体内の水分が全て汗として出ていってしまい、尿が出なくなってしまい、結果尿路結石で倒れるという悲劇にも見舞われる。
それでも翌日からはガッツを出して現場に戻ってくるのだから、この人の根性は凄い。
(今でも吉村家直系の筆頭格としてのれんを守り続けているだけのことはある。)
ちなみに、この津村さんに対して行ったインタビューがyoutubeに上がっていたので、以下に紹介する。
ちなみに今は3店舗に拡大し、息子さん・娘さんも津村さんと一緒にのれんを守っている。
(娘さんのインタビューも載せておく。)
そして石川さん。
こちらはもう、半端ない。
石川さんは津村さんと違って飲食業での経験がなく、また積極性に欠けるため、津村さんとは違うポイントで社長から叱責を受ける。
特に凄かったのは朝の仕込みのシーンだ。
仕込みは普段津村さんと石川さんが共同して行っていたのだが、津村さんが前述の尿路結石で倒れた結果、石川さん独りでやることとなった。
ところが、普段からその作業を津村さんに任せっきりにしていたからか、基本的なところでミスを連発し、社長の逆鱗に触れる。
その際に社長が鍋で石川さんの頭を殴打し、一瞬意識が飛んだような石川さんがオロオロするシーンは余りに衝撃的だ。(だから傷害事k、、)
ただ、その後は意識を入れ替えたのか、見違えるように動きが良くなり、やがては津村さんと共に「杉田家」を任されることとなる。
その後津村さんと袂を分かち独立したようだが、行方は分からない。
ただ、あれだけの修行を耐え抜いた石川さんのことだから、きっとどこかで頑張っていることだろう。
結論
商売の難しさ、仕事への”姿勢”。
これらについて何かヒントが欲しいなら、「吉村家 修行」の出番だ。
真髄がここにある。
以上。