序論
筆者は奥野一成氏。現在農林中金バリューインベストメンツにて、最高投資責任者をされている。
ご存知の方も多いだろうが、氏の運用されている「農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶね」は、iDeCoの対象ファンドにも指定されており、かくいう私もiDeCoはこのファンドに全振りしている。
上記にもつながるが、同氏の「教養としての投資」が良い本で、その投資方法(哲学)にはかねてより強い共感を覚えていたのが今回の購入理由だ。
また、内容も想像通り素晴らしいものだったので、本日は大事なポイント(と感じたところ)を数点に絞って、特に若い読者に向けてお伝えしたい。
本論
大事なポイント① 「ありがとう」の総量をお金で評価するのが資本主義
この章で筆者が語るのは、「お金持ちになりたいなら、お金を求めてはならない」という逆説だ。
何故か。
それは、他者・社会に対して自分が提供した「価値」が、「ありがとう」と他者に評価されてはじめてお金が得られるからだ。
つまり、
(正)「価値提供」→「ありがとう」→「お金」
(誤)?→「お金」
ということだ。
一聴するときれいごとに聞こえるかもしれないが、これは単純な論理である。
まず、ここを抑えないといけない。
大事なポイント② 変えることができるのは「自分」と「未来」
お金持ちになるためには、自分が持つ有限な時間を、貴重な資源に割り振らないといけない(投資)。
そのときに、コントロールできないものに時間を使うのは人生の無駄である。
①「自分」「未来」→コントロールできる
②「自分」「過去」→コントロールできない
③「他人」「未来」→コントロールできない
④「他人」「過去」→コントロールできない
つまり、「自分/他人」「過去/未来」の掛け合わせで見たときに注力すべきは、「自分」「未来」だけだということだ。*
*当たり前だと思うかもしれない。だが、人は当たり前なことからしか考えられないのだ。
そしてそうと決まったら「好きなこと」をやりきって未来を切り拓けば良い。*
*後段で筆者が注力したほうが良い領域を案内されてるが、ジャンルよりも「やりきる」ことのほうが大切だというメッセージだと受け取ったので、ひとまずこれだけ伝えておく。
大事なポイント③ 会社は給料をもらう場所ではない
これは①に通ずる。
会社は給料をもらうところだ、というのは思考停止だ(経過をすっ飛ばしている)。
会社は、「個人では解決できない社会・顧客の課題を解決するために異なる能力を持った個人が集まって作られた組織」であり、その課題解決のために「個人の能力を売り」、社会・顧客から「ありがとう」という「評価」(お金)を得た上で、貢献度に応じて「給料」という形で個人にお金を分配する組織だ。
そう考えると、より多くのお金を稼ぐためには自己成長が必須だという意識が生まれるだろう。(そうしないと、会社に「売れる能力」が逓減し、貢献度も減って「給料」も減るからだ。)
そしてその意識が強ければ強いほど(自己成長のための投資を怠らなければ)、お金持ちになれるという算段だ。
大事なポイント④ 人と違うことを考えよう
大量生産・消費の時代が終わったのに、人々の考え方は全く変わっていない。
相も変わらず良い学校を出て、良い会社に入れば良いという思考停止で満ち満ちている。
ずっと貧乏でも良いならそれでもいいが、お金持ちになりたいのならそれではいけない。
Think different, act differently.(後段は付け足し)
前段から述べてきたように、お金とは課題解決の対価だ。そして現代社会は、かつてないほど複雑かつ多様な課題で溢れている。
ではその課題を解決できるのは誰か。
まさか大量生産・消費の時代の考え方でキャリアを積んできた人間か?
ありえない。
そのような課題を解決できるのは、人と違うように考え、そして行動できる人間である。
ではそうなるためにはどうすればよいのか。
「他人」が当たり前のように考えていること・行っていることから意識的に離れて自分なりに考え・行動してみることだ。
どんなに小さいことでもいい。
「当たり前」を「当たり前」と考えず、自分なりの「別の角度」から思考し行動できる人間になれば、複雑・多様な課題も解決できるようになり、他に抜きん出た存在になれる。(そしてそのような人は「対価」も多く得られるので、結果としてお金持ちになれる。)
結論
本論で言い尽くしたので特にないが、本書は「お金持ちになるための考え方」が非常によくまとめられた好著である。
特に10代・20代の若者は、今後どうやって社会を渡っていけばよいのか不安になったときに、本書を手にとって2・3回読み、その日から実践し始めれば、「お金持ち」になれると思う。*
*筆者は小金持ち(と思っている)だが、このように考え、行動できるようになったのは30代に入ってからなので、10代・20代から始めれば間違いないだろうというのは確信を持って言える。
以上。