読書

書評② 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!

序論

筆者は山崎元氏。現在、楽天証券経済研究所客員研究員であり、かつ(株)マイベンチマークの代表取締役を務めておられる。

この人を一言で言えば、金融のプロである。

私が知る限り、個人投資家向けの情報提供をしてくれる「中の人」の中ではもっとも信用のおける人だ。

この本は作家の大橋弘祐氏が、「お金持ち」になるにはどのような投資戦略を持てばいいのかを、プロである山崎氏に一つ一つ尋ねる会話形式の入門書である。*
*ただ入門書とはいっても、これ一冊で大体のことはカバーできるだけの情報量がある。

さほどのページ数はなくお値段も控えめなので、上記のような悩みを持っていながらいまいち一歩を踏み出せていない人はすぐ購入して読めばいいと思うが、折角なので本書からも、私が大事だと思ったポイントをいくつか抜粋して共有したいと思う。

本論

大事なポイント① 世の中は知ってるだけで特になることがある

お金を増やしたい。でも減らすようなリスクを負いたくない。

じゃあどうする?

個人向けの日本国債買えばいいじゃん。

本書掲載時とは利率が違うが、例えば今だと変動金利型10年満期の個人向け国債は0.1%くらいの利回り。一方、みずほ銀行の定期預金は0.002%。

どっちが得か、わかりますよね。しかも市中銀行より国の方がデフォルトリスクも低いし安全。

なんでやらないの?

それは知らないから。

そう、この本のポイントは知ってれば得だけど知らなければ搾取し続けられることを教えてくれること。

まず、知る努力をしよう。

大事なポイント② 金を増やしたいなら銀行には近づくな

①とも関連する。

よく言われるけどこれどういうこと?

銀行は金持ちには投資をさせて手数料をもらう。貧乏人には借金させて金利をもらうのがビジネスモデル。前者の例が老人に買わせる手数料だけ高い投信。後者の例が家購入時のローン。

この本は前者のどんな金融商品を買えばよいのか、という問いに答える本なのでそちらに的を絞って説明すると、銀行が進める商品は、「客が得するものじゃなくて、自分が得する手数料の高い(利用者にとっては)価値がないもの」でしかない。

そんなの利用する価値ないよね。

じゃあ何を利用すればいいの?

ネット証券です。

似たようなビジネスモデル(手数料収入)だとしても、店舗もなく社員も少ないネット証券の方が、そもそも客からの手数料をがっつりとって儲けてやろうという発想にならない(できない)から必然的に割安になる。

大事なポイント③ 投信を買え

②の続き。

ネット証券で口座を開きました。じゃあ何を買えばいいの?

はい、投信です。

なんで?

以下の利点があるから。

  1. プロに運用してもらえる(素人がごちゃごちゃ考えて変な失敗をするリスクがない)
  2. 手軽に分散投資ができる(投資対象銘柄が多いので、リスクが抑えられる)
  3. 海外にも手軽に投資できる(世界中の優良企業に投資できる)
  4. 投資資金は信託銀行で管理されており比較的安全(ママ)

なるほど、利点はよくわかった。では何を買えばいい?

以下のポイントを満たすもの

  1. 信託報酬が安い
  2. 販売手数料が安い
  3. 毎月分配型を選ばない
  4. ファンドの資産規模、流動性を確認する
  5. 過去の成績で選ばない

うーん、項目多いな。結局どの銘柄なん?

山崎氏のオススメ

  1. 上場インデックスファンドTOPIX
  2. ニッセイ外国株式インデックスファンド

私の考え

以下のサイトでオススメされているようなファンドならなんでも*
*ただし、ジャンルは「全世界株式」か「先進国株式」。

参考:https://diamond.jp/articles/-/131949

私と山崎氏の違いは日本株への見方だ。

山崎氏がリスク分散を重視して2を選んでいる一方、私は日本市場全体の成長に全く期待してないので、だったら「うすーく日本株も入ってる」か「まったく日本株が入ってない」、つまり米国のウェイトが高い「全世界株式」か「先進国株式」の方がいいと考えてのことだ。

まあどちらを取るかは読者次第ではある。

結論

本書の終わりに山崎氏は語る。

「お金に限らず、人生で大切な物事を考える際に大事なのは、物事を「程度の問題」として理解することです。何かを「信じよう」としてはいけません。現実の世間では「信じる者は救われない」のです。信じることは、危険です。」

そう、この本の趣意はここにある。

「お金」が増えないと悩んでいる人は、どうせ「程度の問題」だとは思うけど、正しい理解を得ておこう、という最低限の努力をしないから、何かを「信じる」しかなくなり、結果として正しく理解している他者・社会に利用されているのだ。

そうならないために、まずは主体的に一歩踏み出そう。

以上。

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